'Tom Bombadil is the Master.'「トム・ボンバディルは主人です。」
'He is his own master.'「彼は彼自身の主人なのじゃから。」

トムに対するゴールドベリーとガンダルフの発言です。

masterを辞書で引いてみると、成句で

be master of
(2)…を所有している:

be master of a fortune (自由にできる)財産の持ち主である.

make oneself master of
(1)…の支配権を握る.
(2)…に精通する,通じる;…を極める:

というものが載っていました。ここから想像するに、英語でmasterと聞けば、そこには「何かを所有する／支配する」というニュアンスが含まれているようです。
　しかし、Evenstar様が御指摘の通り、文中で教授は、トムについて「所有欲・支配欲」の存在を否定しておられます。そのため、文頭でわざわざ'master in a peculiar way'と述べたのでしょう。
　「masterと聞いて、一般にあんたがたが思い浮かべるイメージとは、違う意味でのmasterなのじゃよ。」と、教授が読者に最初にジャブをカマしているように感じます。
「所有し支配するものを持つはずのmasterなのに、トムは彼自身以外何も所有せず、支配しないmasterである。」この矛盾した設定がトムの本質なのでしょうか。また、後ほどさらに考察してみます。