皆さん、お疲れさまです。様々な訳、本当に楽しませていただいてます。そしてどうみても、私が一番得してますね。（笑）皆さんのような生みの苦しみは何もなく、楽しんで翻訳案を選択しているんですからけしからん。全ての方のに目を通し、文字通りの独断偏見による美味しいとこ取りが以下になります。いたらないところはすぐにお気づきになることでしょうから、どんどん突っ込んで下さい。　校正がお上手な方も、お願いいたします。

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一風変わった意味でではありますが、トムは主人なのです。主人であるので怖れを知りません。しかしながら、占有や支配への欲求も全く持ち合わせていないのです。トムが知り、理解するのは彼を取巻く小さな領域の中の関心のあることどもだけです。それでも、そのことどもを裁くことはおろか、私達が知るかぎり、あの柳じじいについてさえ、改心させてやろうとか追放しようとはしないのです。
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「です／であります調」、いいですね。もしもこれが手紙ではなくエッセイだったら、「である／だ調」がぴったりきますが、やはりヘイスティング氏に語りかけているということを考慮すると、この場合は「です／であります調」がしっくりくるように思います。

それと、ここでのポイントは、「主人」と説明されて読者が混乱しないよう、トムの「主人」らしい点（怖れをしらない）と、「主人」の既成概念にあてはまらない側面（支配欲、所有欲の欠如）がやんわりとでも対比できるように表現することではないでしょうか。ですから、he has no fear, and…のandをそのまま日本語にするより、前後二つの節を対比させる為の接続詞（けれど、しかし等）を選択することで、教授の主張が生きてくるように思います。この線に沿って、「風変わりな主人なのです。」をさらに発展させて「一風変わった意味でではありますが、トムは主人なのです。」は私の一押しです。

＊fear　は、やはり「怖れ」がいいと思います。

＊ desire of possession or domination　なのですが、ここでは物語の中で使われるのではなく、抽象概念として説明されているので、「占有や支配への欲求」、または「所有欲や支配欲」とするのがふさわしいのではないか。

＊ knows and understandsを、「知り、理解する」とするか、「心得る」とするかちょっと悩むところです。確かに、「心得る」はきれいで、一語で表現できるのでなめらかですね。一方では、knows and understandsのニュアンスがやや弱まってしまうような気もする。引き続き、悩んでみます。

＊ as　far　as　can　be　seen　は　「知るかぎり」　で、教授の視点であると同時に指輪物語読者一般の視点であるとのご指摘、私もそう考えます。

＊ removeをその通りに「排除する」とするか、「追放」するとするか。今回はちょっと冒険して、「追放」を選択させていただきました。「追放」は、狭義には expel や　evict　に対応しますけれど、ここでは柳じじいがトムの小さな領域（王国）からremove　されるという意味を考えたとき、「追放」でも意訳のしすぎではないという気がします。皆さんはいかがお考えですか？